「ロシアのウクライナ侵略において、左派は被侵略民衆と政府の抗戦を徹底支援すべきである」掲載にあたって
『火花』編集委員会
機関誌『火花』では106号(1990年6月発行)以降、おおむね個人署名論文という形式を取ってきた。
このことについて、107号の「発刊にあたって」において次のように提起している。
「各文書を署名付きにしたことの、われわれにとっての意義は、第一に、何が問題となっているのかを明らかにする作業をわれわれの内部だけでな
く外部のエネルギーをも引き出しながら進め、そのことを党の強化に結び付けると同時に、党としての今日的な責任をより積極的に果たしていくためであり、
(このことは、誌上での論戦をよりスムーズにやっていくということを含んでいる)、第二には、労働者大衆からする『火花』の点検をよりやりやすいもの
にしていくためである。(『火花』の直接的任務は、第106号で提起したように「活動家の理論能力を高めていく武器とする」ことであり、
「意見が違うことを相互に承認し、徹底して討論し、活動を共同で担い、総括し、新しい判断を獲得していくことをあたりまえの日常活動として」
創り出すことを結びつけていくことである。)」
ロシア軍のウクライナ侵攻をめぐっては、左派の中でも、様々な見解があり、議論が生じている。
『火花』誌上では、「ウクライナ戦争を巡って」(斎藤 隆雄/2022年5月)が掲載されている。
今回掲載の「ロシアのウクライナ侵略において、左派は被侵略民衆と政府の抗戦を徹底支援すべきである」(以下、埴生文書)は、斎藤文書とは論調が異なっており、執筆者(埴生 満)の見解が強く出ているものと言える。
斎藤文書がロシア・ウクライナをめぐる歴史的な国家・民族関係、諸階級・諸階層の相互関係をふまえ慎重に態度を模索しようとしていることに対して、今回の埴生文書は、一面的で断定的な論調が目立つが、主張・提案内容は左派の一つの傾向を示すものであろう。
埴生文書中に「我々共産主義者は」とあるが、もちろん火花派全体の見解を代表するものではなく、執筆者の分析にもとづく見解であり、「意見が違うことを相互に承認し、徹底して討論」していく対象であることを指摘しておく。