共産主義者同盟(火花)

第26回参議院議員選挙結果分析(2)

渋谷 一三
457号(2022年7月)所収


2.プーチンのウクライナ侵略戦争に触発された新党の乱立
  最も危険な参政党が1議席獲得

侵略戦争が現実のものとなった結果、対ロシアへの脅威から軍備増強を唱える伝統的右翼新党が出てきたのに加え、台湾有事の現実味がアップした脅威も加えて軍備増強を主張する党派も登場した。
前者に、「日本第一党」「維新政党・新風」「目覚めよ日本党」。
後者に、「幸福実現党」「新党くにもり」「参政党」が分類されよう。

この中で、一見右翼でないような素振りをしてはいるが、三本柱の三つ目に国のまもりと入れている参政党が、最も危険である。
その主張は具体的なことは何もなく、「具体的なことは党員集会などで順次決めて行く」と先送りにしているだけの体を装っているが、よく読めば、選挙公約は抽象的で曖昧な方向性だけを提示し、具体的なことは党内民主主義で決めると宣言しているのである。
要するに、党内民主主義が、国の民主主義(=選挙)に優越すると忍ばせている。

 さらに、「国の守り」の中で他党にない打ち出しをしているのが、「外国勢力が関与できない体制づくり」や「スパイ天国の日本を改めるには国民一人一人のスパイを許さない気持ちの醸成が大切です。」などという、スパイ防止法の制定に留まらない国民相互監視体制の構築を忍ばせている。
 一見、「一人ひとりが政治に参加する参政」と、生徒会選挙のような青臭い抽象論を唱えているように見えるが、実際には、国民総動員を画策しているのである。

 この危険な参政党であるが、その本質を見抜けずに積極的に選挙活動に参加する人間を組織できたので、当選者を出せた。このことがまた恐ろしい。すでに、「国民総動員」のノウハウのミニチュア版を完成させているのだ。
 具体的には今現在はネットチャンネルで毎日番組を配信して、密教的親和性を醸成することと、水ぶくれなど気にもせず人脈をねずみ講のように広げていくという二つの手法である。
 参政党の今後を注視していく必要があろう。

―以上―




TOP