イラク人民虐殺の対イラク侵略戦争に反対しよう!
流 広志
259号(2003年3月)所収
対イラク問題をめぐる国連安保理内の3月7日のブリクス国連査察団委員長の報告は数ヵ月の査察の継続を求め,エルバラダイ国際原子力委員会委員長の報告は核開発疑惑を否定した。これらは武力行使を狙う米英に厳しい内容であった。
しかし,英ブレア政権は,17日を期限とする完全武装解除を求める修正案を国連安保理に提出し,その採択を狙っている。しかし早くも,フランス,ドイツ,ロシア,中国,シリア五ヶ国は決議案に反対しており,決議の行方は態度を明らかにしていない六ヶ国次第ということになっている。アメリカは,決議採択に向けて,これらの六ヶ国に対して,経済支援を提示して買収工作を活発化している。パウエル国務長官は,採決に自信を示しているが,他方では決議が否決されても同盟国を率いて対イラク戦争をやると述べている。
日本政府ー外務省は,この修正決議案を支持することを表明した。
この中で,国連の違反行為に関する12年という数字が重大な意味を持つように語られているが,それは長年ということを強調するレトリックであり,根拠がない。誰も,なぜ期限が12年であって13年ではないのかを説明することはできない。
対イラク侵略戦争を正当化するための屁理屈やレトリックや詭弁や嘘や情報操作が行われており,買収や脅しの政治工作が行われている。自らが正義であるならば,どうして金による買収や脅しや裏工作や世論操作などの薄汚い手段を使うのか? それはアメリカに正義がないからである。
嘘偽りを並べ立てる米帝ブッシュ政権の真の狙い
この問題で忘れてはならないのは,ブッシュ共和党政権は発足当初からイラクを「悪の枢軸」と呼び,9・11事件以前から,対イラク強硬路線を表明していたということである。すなわち,この事件とはかかわりなく,フセイン政権を危険な敵だとしてその排除を狙っていたのである。ブッシュ政権が9・11事件とフセイン政権を結びつけようとしてきたのは,事件を利用しただけなのである。
9・11事件やアルカイダとフセイン政権のつながりが具体的に証明されないことが明らかになると,ブッシュ政権は,過去のクルド人に対する化学兵器使用やイラク国民に対する抑圧や非民主性ということを攻撃の正当化の根拠として強調するようになった。しかし,政権の非民主性や抑圧ということで言えば,明らかに,サウジアラビアの王族支配の方が強力である。もしサウジアラビアが民主主義国家で,米軍駐留についての国民投票という民主主義的な政策決定が行われたら,反対が多数という結果が出ることになるだろう。クウェートは,二級市民として差別する外国人労働者の搾取の上に王族の贅沢な生活や上層市民生活が築かれている寄生的な支配階級の支配する国家である。
それから,クルド問題で,アメリカは,湾岸戦争後の北部のクルド人武装勢力に,CIAの手で軍事訓練をほどこし,武装蜂起を起こさせて失敗したことがある。北部でイラク軍拠点を次々と壊滅させる成果を挙げながら,やがてクルド人武装勢力の内部抗争が激化し,そのすきをつかいたイラク軍の反撃で,蜂起は失敗に終わったのである。こうしてアメリカーCIAに踊らされたクルド人の間にはアメリカへの不信感が強く残っているという。そしてクルド独立闘争の対象にはトルコも含まれるのである。
また,人口の6割をしめるシーア派住民は,イランと近く,フセイン政権に反対するシーア派イラク人をイランで活動している。シーア派がヒズボラに近いことは明らかで,アメリカが「悪の枢軸」の一つとしたイランの影響力が大きい。イラクに力の空白ができた場合,シーア派住民保護を名目にイラン軍が越境する可能性がある。アメリカが,湾岸戦争後のイラク軍の混乱に乗じて蜂起したシーア派系住民を放置してイラク軍が態勢を立て直す余裕を与えて反転攻勢を許し,この蜂起鎮圧を黙視したのは,イランの介入を阻止するためであった。この時のアメリカの態度にシーア派住民は不信感を持っている。
もろもろの混乱状況を考えて,結局,アメリカは直接統治せざるを得ないということにしたのだろうが,それは莫大な費用を要するものとなる。自らが経営するフォックステレビを使って愛国主義世論を作りだそうとしているメディア王マードックは,帝国主義意識むき出しに,それを,イラクの安い石油で支払ってもらうと言ったという。
米軍占領統治がどのようなものかはすでに日本は体験済みであるが,もっとも過酷な占領体験を強いられたのは沖縄である。沖縄では,民主主義もなく,銃剣とブルドーザーで農地・土地が奪われ,米軍兵士の犯罪や人権侵害にも泣き寝入りを余儀なくされるなどの多大な被害・犠牲が生みだされ,今日まで続く経済格差が生みだされ,米軍統治からの解放を求める沖縄解放運動が多大の犠牲を払いながら続けられているのである。
イラク占領後の復興ビジネスについてはすでに社会資本整備にあたる企業の入札が行われ,受注を獲得した企業の中にはチェイニー副大統領がかつて役員を努めた会社もあるという。石油開発についても,すでに米系石油企業とアメリカが担ぐ反体制派との間での利権協議が行われている。世界の多くの反戦運動が掲げる「石油のための戦争反対」というスローガンに対して,アメリカの現在の石油輸入に占めるイラク原油の割合が小さいことを理由に,今回の米帝の対イラク戦争の狙いが石油支配にあるのではないと批判する者がいる。しかしアメリカが今後,ますます石油輸入の割合を高めざるを得ないのは明らかである。また,世界2位の埋蔵量の石油資源の独占が,世界市場で極めて分配や価格の大きな支配力を与えることになることも明らかである。
また,アフガニスタンにおいて誤爆を続けながら,なんらの謝罪も補償もしない米軍の行動は,自由と民主主義と人権を守る者がすることではない。
アメリカ政府のイラク国民に民主主義と自由を与えるというのは嘘偽りにすぎない。
崩壊する国際秩序と対イラク戦争
重大なことは,このことを通じて,戦後国際秩序のありようが変化しつつあることが露呈し始めているということである。
われわれはすでに1990年代後期に明らかになりつつあった国際情勢の変化について分析を続けてきた。それは1990年初の冷戦体制の終了ということから,必然的に起きた変化である。この時,米帝は唯一の超大国としての世界秩序維持のための障害となる脅威を,地域紛争,大量破壊兵器の拡散,国際テロ,民族・宗教紛争,などとして,それらへの対応としてLIW戦略の本格的発動へと戦略重点を変化させた。
そのために,ボスニア紛争,コソボ紛争での空爆や秘密工作活動の強化をはじめとする地域,宗教・民族紛争への介入を行ってきたのである。しかしコソボでの軍事介入は,あくまで,コソボ領内からのセルビア軍の放逐,コソボ人の完全帰還支援,セルビアへの限定的空爆に止まらざるをえなかったのである。結局,クリントン政権は地上軍を投入しなかったし,ミロシェヴィチ政権を打倒することもしなかったのである。その後,ミロシェヴィチ政権は,セルビア人自身の手によって打倒されたのである。
ライス大統領補佐官はテレビのインタビューで,アメリカは国連予算の4分の1を出しているので,国連はアメリカのために働くべきだという意味のことを述べている。しかし国連は,再び世界戦争が起こらないようにするために戦勝国・連合軍によって組織されたのであって,国連安保理の認めない戦争を米英が勝手に行っていいという事になれば,多くの国が国連加盟の意義を認めなくなるだろう。戦争は,国連と関わりなく各国が勝手に判断して自由に行ってよいことになるからである。そうなれば,国連憲章で加盟国の戦争権を制限していることの意味がなくなるわけである。それはすでに一部で言われているように国連の死を意味するものである。
それが米英の国連決議なしの武力行使から発せられるメッセージである。したがって,日本政府外務省が,しきりにフランス,ドイツなどの査察継続要求がフセイン政権に誤ったメッセージを送るといっているのはまったくのとんちんかんである。それが金正日政権に対しても誤ったメッセージとなるというのもとんちんかんである。
米英がイラクを武力攻撃すれば,国連は死に,国連憲章が掲げるメッセージは無効になるから,戦争が国際紛争解決の手段として正しいことになり,そうであれば戦争準備しなけれならないし,査察継続ならば国連に従うことはイラクの主権が保障されることを意味するから,査察への協力は政権を救うことになる。したがって,フセインは,戦争準備と査察協力を並行して,国際社会の現実が発するメッセージに正しく対応して行動しているのである。米英は国連の意志は関係ないと言い,実際,政権中枢で強い影響力を行使している新保守主義派は,何年も前から,イラクへの武力行使,フセイン政権の打倒を主張してきたのである。イラクは,かつて日本がやった国際連盟からの脱退のように国連から脱退もしていないし,その意志表示さえしていない。
金政権については誰が考えても明らかである。もし国連に関係なく,米英の判断で戦争が起こせるならば,国際社会での話し合いなど意味がないと判断し,一層の軍事力強化に走るだろう。現在の米英の行動が,軍事力の背景なしの交渉や話し合いは無駄だというメッセージを発しているからである。
現在の国連安保理を二分している対立が,フランス共和党保守政権とアメリカの共和党保守政権という保守政権の間で起きているというのは,冷戦後の新しい現象である。イデオロギーが同じ政権の間の対立なのである。これは明らかに冷戦後の対立軸の変化を表しているのである。反ソ反共イデオロギーで一致してきた同盟関係が変容しているのだ。保守主義の基軸は国益であり,国益上の対立は決定的な意味を持つ。それを部分的に放棄,制限することによって,国際秩序が保たれてきたが,それは冷戦という対立軸の存在によってやむを得ず維持されてきたのである。大きな共通の敵に対しては,ある程度の犠牲はやむを得ないと我慢してきたことも,大敵の消滅によって,その必要が薄れたのである。
これまでのイデオロギーは国際社会の団結や同盟を固めるものではなくなりつつある。日米同盟もまた従来のイデオロギーによる同盟という意義を失い,利害による同盟という内容を明らかにしつつあるのだ。すなわち,イデオロギーの仮面がはぎとられて,侵略反革命同盟という帝国主義利害を軸にした同盟という内容が表面に浮上してきたのである。利害がそれに見合うイデオロギーを生みだすのである。
国連安保理での3月17日を武装解除の最終期限とする英米の修正決議への多数の賛成が得られそうもないとなるや,英ブレア政権は,労働党内の反戦の声に揺さぶられる形で,武装解除期限の先延ばしを図ろうとして,アメリカと対立した。11日,ラムズフェルド国防長官は,イギリスの参加がなくともアメリカ単独で武力攻撃すると述べ,イギリスの抗議によってすぐにそれを撤回した。事態は流動的である。
米帝に追随する日帝の危機
日本政府ー外務省は,米帝を支持し,国連安保理事国へ米英の修正決議案に賛成するように首相と外務大臣が電話攻勢をかけている。米帝ブッシュに追随する小泉外交の姿に失望し,恥ずかしく思っている人は多いだろう。
アメリカ支持の理由を,政府ー外務省は,米ソ冷戦の終焉と共に,対ソ安保を中心にしてきた日米安保体制の存在意義が弱くなったが,朝鮮半島問題を抱える以上,アメリカの核の傘の下で安全保障を日米同盟に依存せざるを得ないので,アメリカへの貢献をより強めなければならないからだという。朝鮮半島情勢の緊迫化に対する安保に日米同盟によるアメリカの軍事的圧力が欠かせないからだというのである。そこで政府ー外務省,自民党外交部会,保守主義者は,米英を支持するしか選択肢はないという合唱を始めたのである。
こうした政治計算で,小泉首相,川口外務大臣,福田官房長官,安部官房副長官,などの政府幹部が揃って,米英支持を表明し,パウエル国務長官と同じ言葉を語ったのである。問題はイラクが12年間に渡って国連の要求した大量破壊兵器破棄に応じなかったことが,今日の事態を招いたのであり,国連決議1441は,最後の機会を与えたのに,イラクはそのチャンスを逃したというのである。最後の期限の具体的日付は確認されたわけではなく,また1441決議に対する重大な違反があった場合には国連安保理で協議することになっているだけで,それが重大な結果を招くというのが直ちに武力行使を意味するものでないというのが国連安保理多数派の解釈である。この決議自体が玉虫色の妥協の産物である。重大な結果を判断する権限は,アメリカではなく,国連安保理にあるというのが普通の受け取り方であり,したがって,この決議のいう重大な結果を決定するためには国連安保理決議がいる。決議なしの米英による対イラク武力行使は,国連決議に基づかない行為となる。
1998年12月17日,米英は国連安保理決議なしにイラク空爆を強行した。この時,アナン国連事務局長は「今日は国連にとって悲しむべき日だ」と語った。しかしこの時は限定的な空爆にすぎなかった。日本政府は真っ先に米英の空爆を支持した。この時の反戦運動は,自覚的な少数の闘いに止まったし,世論もマスコミも大した関心も示さなかった。
政府や自民党外交部会が,米英支持の理由としてあげている朝鮮半島問題とのリンクというのは,明らかに問題の意図的な混同であり,政治的である。朝鮮半島問題の核心としてあげられている重点は核問題と拉致問題であり,それらはイラクでは問題になっていないものである。イラクと朝鮮半島問題を大量破壊兵器問題として同一視することは,それぞれの歴史的事情を無視する抽象論であり,具体性を欠いている。
また,日米同盟は,イラクを対象にした同盟ではなく,新ガイドラインでもそれはアジア太平洋の安定に資するものと明記されている。いつのまにか,日米同盟は,新ガイドライン安保すら踏み越えた世界全体を対象にした同盟になし崩しに拡大しているのである。公式文書で確認されている文言からは,アジア太平洋安保を超えるイラク問題と朝鮮半島問題がリンクするはずはないのであるが,いつのまにか一線が踏み越えられてしまっているのである。しかし,政府が政治的・意図的に両者をリンクさせる政治宣伝を展開しても,人々はまったく引っかからず,事態を正しく区別して,対イラク戦争に反対している。
これに対して,小泉首相は,世論に従って失敗した歴史的例があると述べて,世論を逆なでした。その例とは,先の戦争で,世論が政府に開戦を迫り,敗戦を招いたという的外れなものである。戦争賛成の世論を上から作り出したのは大日本帝国政府であり,それは政府が治安維持法などで反戦世論を弾圧し封じ込めて上から作り上げた世論である。この時,政府が反戦派などを弾圧せず,言論の自由を完全に認めていたら,世論は違っていただろう。それにその逆に世論に従わずに政府が失敗する場合も考えなければ一面的である。
さらに,マスコミが作り上げている独裁像の形式性,抽象性を指摘しておかなければならない。例えば,フセインと金正日を独裁として共通であるとする独裁観は,「一握りの特権的支配層が多数の人々を支配する」というテーゼに根拠を置いているが,こういう独裁一般の定義からは,アメリカや日本も独裁体制であるということが導き出されるのであるが,それに気付いてもいないという幼稚なものである。要するにそれは無概念性を露呈しているのであり,独裁の表象をもって独裁を認識するというところに止まっているのである。そこで独裁の表象に対置されているのは民主主義の表象であり形式民主主義にすぎない。例えば,GHQが日本に与えた日本国憲法には,形式的な言葉だけの民主主義が書き込まれているにすぎない。そこに書かれている諸文言が,たんなる言葉ではなく,現実となるかどうかは,行動による。言葉と実際が一致した場合にはじめて,本物の民主主義となるのである。したがって,問題が歴史的具体的に提起されなければ,真の解決にも繋がらないし,形式的認識における矮小な正しさしか持てないし,簡単に差別へと転化してしまうようなものでしかないのである。それは,被害者性という一面に固執せざるをえない拉致被害者の「家族会」が,田中康夫長野県知事の批判的発言にたいして,「人間ではない」という誤謬の言葉を返したという事例に明らかである。そういいたくなる心情を察するにしても,この言葉はまったくの誤りで,差別的である。それをマスコミが指摘すらしないのは,民主主義的態度ではない。差別を助長しかねないことが言われているのに黙っているのは,マスコミの社会性の水準が問われる問題なのである。
アメリカべったりの小泉政府は,人々の生活を良くすることもできないどころか,人々の生活悪化を加速させている。そしてその政策は手詰まりになっている。
イラク情勢の緊迫化は,株安に拍車をかけ,経済危機を悪化させる要因となっている。信用による危機の先延ばしは危機の可能性の規模を拡大しつづけている。経済的諸関係を基礎にして経済主体相互が与え合う信用に経済が依存するようになればなるほど,心理的要因と客観的な要因の動揺が絡み合う不可視の撹乱が経済に大きな影響を与えるのである。
例えば11日までの日経平均で7800円台をつけた株安は,この不可視の撹乱が水面下で進行し,やがて噴き出すようになる危機の先触れの可能性がある。株価の大きな動きが真に意味するものが明らかになるまでにはしばしばタイムラグがある。経済現象を心理的要因に還元するブルジョア経済学の心理主義は経済現実を正しく解明できないし間違いである。
手詰まりとなった小泉首相や竹中金融担当大臣は,社会心理の変化を人為的に起こそうとして,悲観論はだめだとか「日経平均連動投資信託は必ず値上がりする」とかの口先介入による将来期待(ケインズ主義)の改善や景気予測の改善(シュンペーター)とかの心理手法による景気回復にすがっているのである。もちろん,そんなものに,経済実態はなんの反応も示していない。問題は,信用による危機引き延ばしが,経済諸関係の撹乱を水面下で拡大しつつあることなのだ。ブルジョア経済学は完全に失敗したのである。
小泉政権の改革の「痛み」を覚悟した人々は,自国帝国主義を打倒する革命の「痛み」を覚悟できるだろう。サッチャー・レーガンの保守革命では,何度も暴動が発生している。資本主義が行き詰まっている今,これから脱出するためには,「痛み」を伴う革命で自国帝国主義を打倒することが,資本主義による戦争からの解放をもたらし,ますます強まる搾取による生活苦や不安からの解放をもたらすのである。
国際プロレタリアートは,国際反戦行動に起ち,自国帝国主義を打倒しよう!
世界的な反戦行動の高まりの背景には,この間の事態が今後の国際政治の在り方に関わる重要な案件だということがある。3月8日の国際反戦行動は,日本では,日比谷集会銀座デモ4万人を始め,全国各地で取り組まれ,さらにパキスタン,インドネシアでの数十万人規模の反戦集会,ワシントンでの数千人の女性デモ,等々と拡がり続け,さらに15日前後にも国際反戦行動が予定されるなど,ベトナム反戦運動を超える規模に達している。
こうした世界での反戦世論の高まりの中で,ブッシュと積極的に行動を共にしているイギリス・ブレア政権では,女性閣僚が国連決議なしに武力行使すれば辞任することを表明し,アメリカ外交官2名が戦争政策に反対して外交官を辞任した。
政府がアメリカ支持の態度を表している東欧諸国の多くでは,政府に反対する反戦世論が多数を占めている。スペイン,イタリアでも国民の多数が武力行使に反対している。日本でも小泉政権がアメリカ支持を表明するが,7〜8割が戦争に反対し,地方議会で反対決議が次々と可決されている。フランスの労働組合はイラクにメンバーを派遣して,イラク労働者との連帯を表明し,交流を組織している。
反戦行動に立ち上がっている人々はフセイン政権を支持しているわけではない。反対しているのはアメリカが,この事態を利用して狙っている石油資源の独占と支配コントロール権,力による世界支配,国連の支配,国際世論の無視,従属化,等々に対してである。それは明確に表現されていないにしても,帝国主義世界支配への反発であり,反対でもあろう。銀座4万人デモの先頭に「対イラク侵略戦争反対!」という横断幕が掲げられていたのは,そのことを表している。帝国主義の戦争・侵略・反革命・抑圧・差別に反対する人々の声が,世界的に繋がり,連帯を生み出していることが国際反戦行動の中で実証されたのである。国連決議に関わりなく,戦争の前でもその最中でも,国際プロレタリアートは世界の良識ある人々と共に国際反戦行動に立ち上がらねばならない。共産主義者とプロレタリアートは,かかる人々の声に応え,戦争に協力し加担する自国帝国主義打倒のための闘いをより発展させなければならない。共に闘おう!